Misono Hiroko Note

デザイナー御園ひろ子のアイデアノート

アイデアを形にする仕事 ランジェリーデザインの方法

02/23-2020


「デザインする時って、パソコンを使うんですか?」

とよく聞かれます。

私の場合は、「95%アナログです」と答えています。


はい、今日はレースの色を考えているところです。

色出し作業の時は、こんな風にデスクの上が素材と色見本と資料で埋め尽くされます。

私の頭の中と目の前が同じ景色です。引き出し開け放題な感じ。



今回は、頭に思い浮かんだアイデアを人に伝えるための道具と方法についてのお話。

アイデアを形にする仕事というのは、一番手っ取り早く具現化できるツールを味方につけることが肝。



アパレルデザイン用の最新ソフトなんかは、プリントの柄やニットの編地も多種選べて

絵型にはめ込んでほぼ実物に近いビジュアル化ができるシュミレーションソフトがありますね。

洋服の場合は、主となる1種類の素材が占める割合が多いので、このようなソフトを使ってシュミレーションがしやすい。

シャツの場合ならば、表面的な材料はメイン素材となる布帛と、ボタンだけできています。

ジャケットやニットの場合も、切り替えのデザインがあったとしても、大体のデザイン画のパーツに

素材感と色を充てれば、シュミレーションで確認できます。

洋服の場合は、なんせメーカーのデザイナーが起こす型数が膨大なので、プレゼン用などに

こういったシュミレーションソフトがあると便利でしょうね。


でも、ランジェリーの場合は、デザインを検討する際にシュミレーションで判断するデザイナーは

ほぼいないと思います。

なぜランジェリーは、デジタルでデザインをしないかというと

主素材であるレースの”柄表現”が、デザインの要となっているということ。

レースの柄がすごく大事なんです。

だって、レースが気に入らなかったら買わないですよね。(とても単純)



レースの柄と色表現がランジェリーデザインの命とも言えるほど大切な要素なので、

パソコン操作では表現できない微細なニュアンスをすごく大切にしているのです。

刺繍レースにしても、編みレースにしても、柄構成上の糸1本の渡り具合でさえも修正することもあります。

だから、まずはレースをデザインすることから始まり、レース実物の完成度を高めることに注力します。

レースをデザインすること、これがランジェリーデザイン全体の約50%~80%ともいえます。

概ねのランジェリーデザインの方法としては、

まずレース実物に合わせて相性のいい副資材を選びつつ、全体のカラーリングをまとめていくということ。

(デザイナーによってそれぞれあるかとは思いますが)



私の場合、デザインを1つ仕上げるまでの工程のほとんどをアナログ作業で行っていて

たまーに(約5%の割合で)カラーシュミレーションが必要な場合にイラストレーターやフォトショップを使って

全体の色イメージを確認しています。

でも、基本的にはカラー表現がパソコン上の色では満足できないので、

シュミレーションすることで逆にイメージが遠のいて冷めてしまう時だってありますので要注意です。


ちなみに私がやっている約95%がアナログ作業という、そのプロセスとは

1.イメージを拾い集めてくる(人物やモノなど様々な画像)

2.イメージに合う素材をメーカーから取り寄せる

  素材とは、主素材である生地、レース、副資材のリボンやテープ類など。

3.レースをデザインする。

    (柄を手書きで描いて、たたき台となる色を決めてメーカーに実物サンプルを依頼する)

4.レースが上がったら、その他の素材を組み合わせディティールのデザインをする。

5.実物サイズの模型をつくる。(素材を貼り合わせて簡易的に縫製して、全体を確認する)

ここまでの作業で、商品のイメージが具現化します。


この1~5を、できるだけブレずにイメージどおりクリアなものにするかは

鮮度あるうちに起こすスピードが大事なので、自分が得意なツールや方法でやることがベストなんです。

使い勝手のわるい道具でモタモタしていたら、せっかくのアイデアがどこかへ飛んで行ってしまうなんて残念ですから。


なので、私の場合は、「もっと良くするために何かが足りない・・」なんて空白を埋めるために

そこらじゅうから色や材料見本を持ってきて、即興的にワークします。

「コレだ!」と納得するまで練るので、パソコンでは無理なんです。


”素材の質感による色の見え方”を侮ることなかれ。

これが、ランジェリーという小さな世界の品格を左右するといえます。

刺繍レースの糸種と、編みレースの光沢感、リボンの光沢感、それぞれがどうマッチングするか

色の分量や配置のバランスはどうか、という具合に。

ブラジャーの場合は表面上に見えている素材だけで最低4~10種くらい。

(メインレース、サブレース、飾りテープ、ストラップ、リボンなど)

ですから、その全ての調和がデザインです。


「デザインは尽きないの?」

と、この質問もよく聞かれます。

わたしは即答で「尽きない」と答えます。

20年やってきて、尽きる恐怖に襲われたことはないです。

なぜなら、柄を自由に作ることができる素晴らしさと、その細部の組み合わせは無限に広がっているから


ランジェリーの楽しさは尽きない。



メンズ用ランジェリーMENEDEUX<公式HP>

https://mene-jp.com